こんにちは、けんちゃんファンドです。
今回はダウの犬投資戦略を日本版にアレンジして実践する高配当ポートフォリオをつくっていきます。
2024年からはじまる新NISA制度をひかえ、高配当株投資の関心が高まっております。
本場のダウの犬投資戦略は、米国の高配当株を投資対象とする投資手法です。
今回、日本版にアレンジすることで、より親しみを感じられるポートフォリオを構築していきます。
- ダウの犬投資戦略について知りたい
- 高配当株に興味がある
- 日本の高配当株に投資をしたい
- 安心して保有できるポートフォリオをつくりたい
ダウの犬投資戦略
ダウの犬投資戦略とは
ダウの犬投資戦略とは、米国のダウ工業株30種平均の構成銘柄の中で、配当利回りの高い上位10銘柄に均等に投資する投資戦略です。
この戦略は、1991年にマイケル・オヒギンズ氏が著書「Beating the Dow」の中で紹介したことで広く知られるようになりました。
ダウの犬投資戦略の基本的な考え方は、配当利回りが高いほど、株価が割安になっているということです。
つまり、配当利回りが高い銘柄は、将来の成長性が低い、または業績が悪化していると考えられます。
しかし、ダウ工業株30種平均は、米国を代表する30の優良企業で構成されているため、業績が悪化している銘柄は、それほど多くはありません。
そのため、ダウの犬投資戦略では、配当利回りが高い銘柄に投資することで、高い配当収入を得られるとともに、相対的に高いリターンを獲得できる可能性があると考えられています。
ダウの犬投資戦略の投資手順
ダウの犬投資戦略は、以下の手順で運用します。
毎年12月末時点で、ダウ工業株30種平均の構成銘柄を配当利回りの高い順に並べる。
その上位10銘柄に均等に投資する。
翌年12月末時点で、上記の10銘柄のうち、配当利回りが10位以下になった銘柄を売却し、代わりに配当利回りが10位以上の銘柄を新たに購入する。
ダウの犬投資戦略のメリットは、以下のとおりです。
- シンプルな投資戦略であるため、初心者でも始めやすい。
- 高配当収入を得られる可能性がある。
- 相対的に高いリターンを獲得できる可能性がある。
ダウの犬投資戦略のデメリットは、以下のとおりです。
- 配当利回りの高い銘柄は、業績が悪化している可能性がある。
- 配当利回りの高い銘柄は、株価の変動が大きい可能性がある。
従来のダウ投資戦略で投資したポートフォリオ
2023年12月29日(金)時点の本場のダウの犬投資戦略を実践した場合は、以下のポートフォリオになります。
ダウ工業株30種の配当利回りの高い上位10社に均等に投資
2023年12月29日時点
ティッカー/企業名/利回り(%)/株価($)
- WBA ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス 7.22% 26.11 $
- VZ ベライゾン・コミュニケーションズ 7.00% 37.70 $
- MMM スリーエム 5.47% 109.32 $
- DOW ダウ・インク 5.07% 54.84 $
- IBM IBM 4.05% 163.55 $
- CVX シェブロン 4.03% 149.16 $
- KO コカ・コーラ 3.13% 58.93 $
- CSCO シスコ・システムズ 3.07% 50.52 $
- JNJ ジョンソン・エンド・ジョンソン 3.00% 156.74 $
- AMGN アムジェン 2.95% 288.02 $
ダウ平均株価構成銘柄 – DJ:DJI株 — TradingViewのサイトを参照し、作成いたしました。
ダウ工業株30種
配当利回りが高い順番(23年12月29日時点)
←👆→スクロール
ダウの犬投資戦略日本版
本場のダウの投資戦略を実践するのも一案ですが、より馴染み深い日本企業で同様の投資戦略を構築したいと思います。
米国ではダウ工業株30種平均の構成銘柄のうち、配当利回りの高い上位10銘柄に投資を行いますが、日本版では、「TOPIX Core30」の配当利回りが高い上位10銘柄を採用いたします。
米国のダウ工業株30種と同様に、30銘柄で構成されていることに加え、日本の優良企業とされていることから、採用いたしました。
TOPIX Core30とは
東京証券取引所が算出・公表する、東証株価指数(TOPIX)の構成銘柄のうち、時価総額と流動性の特に高い30銘柄(大型株)を対象とした時価総額加重型の株価指数をいいます。
TOPIX Core30構成銘柄を配当利回り順位は、以下の通りです。
TOPIX Core30配当利回り順
2023年12月29日時点
←👆→スクロール
今年からダウの犬投資戦略をはじめるとすると、配当利回りの高い以下の上位10社に均等に投資をすることになります。
ダウの犬投資戦略を日本版に実践するポートフォリオ
2023年12月29日時点
- コード/銘柄名/利回り
- 9434 ソフトバンク 4.89%
- 4502 武田薬品 4.64%
- 4503 アステラス製薬 4.15%
- 8411 みずほFG 4.15%
- 7267 ホンダ 3.96%
- 8316 三井住友FG 3.92%
- 8766 東京海上 3.43%
- 8306 三菱UFJ 3.38%
- 8031 三井物産 3.21%
- 9433 KDDI 3.12%
ダウの犬日本版構成10銘柄業績
TOPIX Core30構成銘柄は、時価総額が大きく流動性が高いことから、日本を代表する優良企業が数多く含まれています。
したがって、基本的にはどの銘柄も安心して保有することができると考えられます。
しかし、念には念を入れて、「売上・利益・利益率」「EPS・配当・配当性向」を確認しておきます。
「売上・利益・利益率」「EPS・配当・配当性向」を確認する理由としましては、安定した経営と安定した配当が継続的に得られる企業かどうかを、確認するためです。
「売上・利益・利益率」「EPS・配当・配当性向」
ソフトバンク(9434)
通信、eコマース、インターネットメディア、コミュニケーションサービス、キャッシュレス決済サービスなどのさまざまな事業を展開する企業
売上高・営業利益・営業利益率
ソフトバンクの売上・利益は、過去10年間で最高を更新しており、業績は好調です。
主な要因は、PayPayの子会社化による段階取得に係る差益や、通信事業の収益性改善などです。
今後も、5GやAIなどの先端技術を活用した事業拡大が期待されますが、景気動向や競合他社との競争などにも注意が必要です。
EPS・配当・配当性向
ソフトバンクのEPSは、18年3月期から23年3月期まで、右肩上がりに上昇を続けています。これは、通信事業の収益性改善や、AIやクラウドなどの新規事業の拡大によるものです。
一方、配当性向は、18年3月期から23年3月期まで、70%~80%台で推移しています。
また、21年3月期から23年3月期まで、配当は86円を維持しています。これは、配当性向を維持するための措置と考えられます。
以上のことから、ソフトバンクは、安定した経営基盤を築いており、今後も安定した配当が期待できます。ただし、配当性向を維持するためには、配当額を増やすことは難しいと考えられます。
武田薬品(4502)
医療用医薬品の製造・販売を主な事業内容とする企業
売上高・営業利益・営業利益率
武田薬品工業の売上は、過去10年間で最高を更新しており、業績は好調です。
主な要因は、為替変動によるプラス効果に加え、海外事業の拡大です。
今後も、円安の影響で海外売上高の増加が見込まれることから、業績のさらなる成長が期待されます。
ただし、景気動向や競合他社との競争などにも注意が必要です。
EPS・配当・配当性向
武田薬品は、配当性向が100%を超える年度があるなど、配当性向に無理がある時がある点には留意が必要です。しかし、武田薬品は「累進配当」を公表しており、過去10年間で配当金180円を維持していることから、今後も累進配当を継続していくと考えられ、減配の可能性は低いと考えられます。
アステラス製薬(4503)
医療用医薬品の製造・販売を主な事業内容とする企業
売上高・営業利益・営業利益率
アステラス製薬の売上は、海外事業の拡大や為替変動によるプラス効果により、23年3月期は過去10年間で最高を更新しています。ただし、主力品の特許切れに伴う販売数量の減少や研究開発費の増加により、営業利益は減少傾向にあります。また、営業利益率も過去10年間で最低を更新しており、収益性の低下が懸念されます。
EPS・配当・配当性向
アステラス製薬のEPSは、2019年3月期を境に減少傾向にあります。また、2023年3月期は、配当性向が100%を超えており、今後の減配などへの懸念があります。
みずほFG(8411)
銀行、証券、信託、アセットマネジメント、シンクタンクなどの事業を展開する企業
売上高・営業利益・営業利益率
みずほFGの売上高は、23年3月期に過去10年間で最高を更新しています。これは、主に、海外事業の拡大や、為替変動によるプラス効果によるものです。一方、営業利益率は、14年3月期の34%から、23年3月期には14%と、右肩下がりに下降しています。これは主に、金利環境の低下や、融資損失の増加によるものです。
EPS・配当・配当性向
みずほFGの1株当たり利益(EPS)は、20年3月期より右肩上がりで上昇しており、23年3月期には219円となりました。これは、主に、海外事業の拡大や、為替変動によるプラス効果によるものです。また、配当性向は、20年3月期から23年3月期まで、約40%前後で推移しており、今後、業績の拡大が続くようであれば、増配の余地があると考えられます。
また、「累進配当」を公表していることから、減配の可能性は低く、配当を維持したり増やしたりする可能性が高いと考えられます。
ホンダ(7267)
二輪車、四輪車、パワープロダクツの製造・販売を主な事業内容とする企業
売上高・営業利益・営業利益率
ホンダの売上高は、21年3月期に1兆3,200億円と低迷しましたが、23年3月期には1兆6,900億円を記録し、過去10年間で最高を更新しました。一方、営業利益率は、約5%前後で推移しているので、値上げなどにより、収益性の改善を図ってほしいところです。
EPS・配当・配当性向
ホンダは、2014年3月期以降、一度も配当を減らしておりません。また、配当性向は、約30%前後で推移しており、さらなる増配が可能と考えられます。
三井住友FG(8316)
銀行、リース、証券、クレジットカード、コンシューマーファイナンス等を展開する企業
売上高・営業利益・営業利益率
三井住友FGの売上は、23年3月期に過去10年間で最高を更新していますが、営業利益率は14年3月期以降に右肩下がりに減少しています。
EPS・配当・配当性向
三井住友FGのEPSは300円台~600円台と安定していますが、配当金の増加傾向に伴い、配当性向が右肩上がりに上昇しています。
三井住友FGは「累進配当」を公表している企業なので、今後も配当維持が増配が期待できます。
東京海上HD(8766)
損害保険、生命保険、アセットマネジメント、その他の金融事業を展開する企業
売上高・営業利益・営業利益率
東京海上HDは14年3月期以降、右肩上がりに売上を伸ばしています。また、営業利益も10%前後と安定しており、非常に安定している印象です。
EPS・配当・配当性向
21年3月期の配当性向が101%となったことは、東京海上HDが減配を回避し、株主還元を積極的に行う意向を示すものとして、評価できると考えられます。また、過去最高の配当金(100円)を記録した23年3月期の配当性向は54%であり、今後の増配の余地が残されています。
三菱UFJ(8306)
銀行、証券、信託、クレジットカード、コンシューマーファイナンス等を展開する企業
売上高・営業利益・営業利益率
2014年3月期以降、営業利益率は減少傾向にありましたが、2023年3月期には過去10年間で最高となる9兆円を超える売上高を達成し、好調な業績を維持しています。
EPS・配当・配当性向
14年3月期以降、減配を一度も実施しておりません。また、累進配当を公表していることから、今後も配当金の維持・増配を継続していくことが考えられます。さらに、配当性向が約30%前後であり、増配の余地も残されています。したがって、中長期的な視点で投資を行うには、安心して保有できる銘柄であると考えられます。
三井物産(8031)
エネルギー、金属、化学品、機械、食料、住生活、金融、その他の7つのセグメントで事業を展開する企業
売上高・営業利益・営業利益率
三井物産の売上高及び営業利益は、21年3月期以降、目覚ましい伸びを示しています。しかしながら、営業利益率は5%前後で推移しており、さらなる向上が望まれます。具体的には、8%から10%程度の営業利益率を達成できれば、企業価値の向上につながるものと考えられます。
EPS・配当・配当性向
三井物産は、近年、当期純利益(EPS)の急速な伸びが続いております。また、累進配当を公表しており、配当性向が19%前後と増配余地を十分に残しております。これらのことから、三井物産は増配の期待が持てる企業であると考えられます。
KDDI(9433)
通信事業を主軸とする総合情報通信サービス企業
売上高・営業利益・営業利益率
KDDIは、14年3月期から23年3月期までの期間において、売上高・営業利益ともに年々増加しており、その推移はきれいな右肩上がりです。また、営業利益率は約20%前後を安定して維持しており、経営基盤の強固さをうかがわせます。
EPS・配当・配当性向
1株当たり利益(EPS)及び配当金は、いずれも右肩上がりで推移しております。また、配当性向は、増配に伴い約43%前後と上昇傾向にあります。しかしながら、さらなる増配余地が残されていると考えられることから、引き続き増配に期待が持たれます。
まとめ
今回はダウの犬投資戦略を日本版にアレンジしたポートフォリオを公開しました。
米国の本場のダウの犬投資戦略を実践するのも一案ですが、日本人には日本の企業になじみ深いため、日本企業に投資する日本版ダウの犬投資戦略も一つの選択肢です。
「売上・利益・利益率」「EPS・配当・配当性向」を確認しましたので、安心して保有できると判断すれば、全部保有して日本版ダウの犬投資戦略を実践してみてはいかがでしょうか。
投資には絶対はありませんので、最終的にはご自身の判断で投資を行っていただきますようお願いいたします。。
また、新NISA制度が始まったことで、高配当株への投資意欲が高まってくるのではないかと考えております。
値上がり益(キャピタルゲイン)と資産収入(インカムゲイン)の両方を狙える投資先として、高配当株を検討してみてはいかがでしょうか。
2024年年末に「ダウの犬投資戦略日本版」の株価が上昇したのか、結果を報告いたしますので、ぜひ当ブログをご覧ください。
本記事で何度か登場した「累進配当」については以下のブログでご紹介していますので、ご覧ください。
今後も有益な投資情報を発信していきますので、よろしくお願いいたします。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。けんちゃんファンド